SNSは投資家とのつながりが弱い起業家の資金調達格差を解消するか
女性や人脈の乏しい起業家はVC調達で不利になりがち。SNSの活用が、こうした投資家ネットワークの格差をどこまで埋められるかを大規模データで検証する。
2026.09.14 約3分で読めます
-> スタートアップにとってVCからの資金調達は成長の鍵。しかし、女性起業家は投資家とのつながりが弱く、資金獲得に苦労する傾向がある
少数派に対する課題をSNSは埋められるのか?
分析データ
2007-2016年のITスタートアップCrunchbaseデータ(VC投資情報)とTwitter(現X)の利用状況を分析。
スタートアップ企業のTwitterアカウントの有無、ツイート数、エンゲージメント(リツイート、コメント、いいね)などを調査。スタートアップ約2万社による11万5,984件のデータが分析された
発見1: Twitter利用は資金調達額の増加と関連
投資家ネットワークに未接続のスタートアップ企業 (isolated companies)においてTwitter利用は有益
-> Twitterのエンゲージメントが1標準偏差増加すると、創業者の過半数が女性である企業では資金調達額が約13%増加(平均で約1.5億円)
発見2: この効果は、情報非対称性を軽減するメカニズムを通じて現れる
🔹Twitterの効果は、資金調達競争が激しい市場でより強い
🔹該当起業に投資済みの投資家(Repeat investors) よりも、新規投資家を惹きつける効果が強い
🔹過去に起業経験のある連続起業家よりも、初めて起業して設立したスタートアップ企業に対して効果が大きい
-> スタートアップとVC間でお互いの情報が不足している状況ほどSNSが役立つことを示唆
発見3: Twitterの利用は、特に創業者の過半数が女性である企業のネットワーク状態を改善
Twitter利用後、創業者の過半数が女性であるスタートアップの場合、男性中心の創業者チームよりもネットワークの多様性が向上されると示唆
ネットワーク改善は資金調達につながる可能性があるので重要なポイントだが、一度ネットワークが改善されると、その後のTwitterによる追加的な資金調達効果は薄れる傾向
発見4: 発信内容も重要
ネットワークが未発達のスタートアップでは、人事、事業関連告知、顧客関連告知、製品プロモーションなど、あらゆるビジネス情報の発信が資金調達にプラス
一方で、既にネットワーク上のつながりがあるスタートアップでも、ネットワーク上の多様性が限定的な場合は、製品プロモーションのように収益成長につながる情報発信が効果的
まとめ
SNS(今回はTwitter)は、創業者の過半数が女性である企業やネットワーク資本の乏しい起業家が直面する、資金調達の格差を緩和する可能性。背景には、投資家との間の情報非対称性を軽減するメカニズムが関連。
ネットワークに課題がある起業家にとってはSNS活用の重要性を、VCにとっては新たな情報源としてのSNSの価値を、政策立案者にとっては格差是正ツールとしてのSNSの可能性を示唆
Reference: Wang, X., Wu, L., & Hitt, L. M. (2024). Social Media Alleviates Venture Capital Funding Inequality for Women and Less Connected Entrepreneurs. Management Science, 70(2), 1093-1112. doi:10.1287/mnsc.2023.4728
