論文レビュー

スタートアップでの従業員経験は、その後の起業を後押しするか

スタートアップでの就業経験が、過少代表されてきた人々の起業をどう促すかを分析。「ジョイナー」から「ファウンダー」への移行のメカニズムを明らかにする。

2026.06.10 約2分で読めます

論文紹介Law et al. (2025) · Strategic Management Journal 論文を読む →

スタートアップでの従業員経験は、その後の起業を後押しするか?🤔 (Law et al., 2025)

前提

スタートアップ企業の初期段階にメンバーとして加わった人は「ジョイナー (joiner)」と呼ばれる

ジョイナーとしての就業経験が、その後の起業経験に与える影響を分析

データ

Venture For America 🇺🇸 のプログラム応募者8,000人以上のキャリアデータ (2013-2023年) + 定性インタビュー39名

📝発見1: スタートアップ就業経験は、その後の起業確率を高める

ジョイナーは非ジョイナーと比較して、卒業後11年以内に成長志向の企業を設立する確率が2倍近く高い (ジョイナー11% vs 非ジョイナー6%)

📝発見2: ファウンダーになる効果は、黒人女性において特に顕著

黒人女性の場合、ジョイナー経験があると起業確率が15%に達するのに対し、ジョイナー経験がない場合はわずか3%

この差は他の人種・ジェンダーグループ(白人男性、白人女性、黒人男性)と比較して突出して大きい

ジョイナー経験が重要なメカニズム

🔹モチベーションの向上:
スタートアップでの実体験が、起業への心理的ハードルを下げ、自信を育む

-> 特に、ロールモデルの不在や社会的なステレオタイプに直面しやすい黒人女性にとって「自分もできるかもしれない」という感覚の変化は大きい

🔹学習機会:
多様な業務経験を通じて起業に必要なスキルや知識を獲得

🔹ソーティング:
元々起業志向のある人がジョイナーを選ぶ傾向

🗣️黒人女性の声:
「以前は天才的な人でなければ起業できないと思っていた。でもスタートアップで働き、創業者も普通の人間だと分かった。自分にもできるかもしれないと」

-> スタートアップでの経験が、彼女たちの「疎外された自己概念」を変革するきっかけに

まとめ

スタートアップでの就業経験は、全てのグループにとって起業を促進するが、その効果は黒人女性において特に大きい

スタートアップ環境での実体験が、社会的ステレオタイプによる心理的障壁や情報格差を乗り越える上で、特に重要な役割を果たす可能性を示唆

Reference: Law, C. G., Howell, T., Bingham, C., & Bermiss, Y. S. (2025). From joiners to founders: Startup employment and underrepresented entrepreneurs. Strategic Management Journal. DOI: 10.1002/smj.3705

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