論文レビュー

起業家の「ダークな性格」は成功の鍵か──マキャベリズム・ナルシシズム・サイコパシー

問題視されがちなダーク・トライアド(マキャベリズム・ナルシシズム・サイコパシー)とスタートアップ業績の関係を分析。曲線的な媒介モデルで成功との複雑な関係を示す。

2026.09.16 約2分で読めます

論文紹介Brownell et al. (2024) · Entrepreneurship Theory and Practice

起業家は型破りな行動で時に注目されることもあるが、強い個性は成功の要因なのか?

この論文は、一般的に問題があると見なされがちな3つの性格特性とスタートアップ業績の関係について分析

前提

データは、アメリカ🇺🇸テクノロジー起業家を対象(N=264、N=307)

以下、3つのダークな性格
1. マキャベリズム:目的達成のために他者を操作し、策略を用いる

2. ナルシシズム:自己中心的で賞賛を求め、誇大な自己イメージ

3. サイコパシー:衝動性、共感性欠如、反社会的な行動

発見1️⃣:マキャベリズムとサイコパシーは適度に関連

創業者のマキャベリズムとサイコパシーのレベルが低〜中程度の場合、スタートアップの業績との間に正の関連が見られる

一方、これらの特性が中程度から高いレベルになると、業績との関連は負に転じる傾向(逆U字関係)

発見2️⃣:ナルシシズムと業績の関係

創業者のナルシシズムについては、業績との間で正の直線的な関連。

ナルシシズムのレベルが高いほど、業績も高い傾向

-> 起業・スタートアップという文脈において、ナルシシズムの特性(例:自信、ビジョンの提示)が業績に肯定的に作用する可能性

発見3️⃣:知識共有の役割

✅️マキャベリズムやサイコパシーが中程度の創業者の場合:

自己の考え、感情、行動をうまく管理(自己調整)できるため、投資家などの関係者と戦略的に知識共有しやすい

-> 業績との正の関連に寄与している可能性

✅️マキャベリズムやサイコパシーが過度に高い場合:

自己調整が難しくなり、知識の独占や非協力的な行動が増えることで、知識共有が阻害される

-> 業績との負の関連につながる可能性

まとめ

🇺🇸テック系スタートアップにおいて、創業者のダークな性格は時にプラスになることを示唆。

一方、どのような性格であっても戦略的に知識共有を行う自己調整力は、スタートアップの業績を理解する上で重要な要因になりうる。

Reference: Brownell, K. M., Quinn, A., & Bolinger, M. T. (2024). The Triad Divided: A Curvilinear Mediation Model Linking Founder Machiavellianism, Narcissism, and Psychopathy to New Venture Performance. Entrepreneurship Theory and Practice, 48(1), 310-348.

関連記事

マネジメント・レビューTOP