エンジェル投資はその後のVC調達につながるか、妨げになるか
エンジェル投資家の投資実践が、その後のVCによる追加調達を容易にするのか、それとも妨げるのかを分析。エンジェルの投資スタイルの重要性を明らかにする。
2026.04.27 約3分で読めます
論文の前提
エンジェル投資家:個人の資金で投資
VC:LPから集めた他人の資金で投資
性質が違うことから、起業家にとって両者の関係は「協力的」にも「対立的」にもなり得るとされてきた
-> この研究は「エンジェルのどのような行動が、その後のVC調達に繋がるか?」に焦点
分析対象は、イタリア🇮🇹のエンジェル投資を受けたスタートアップ176社
エンジェル投資後の10年間の資金調達データを追跡
発見1:厳しいエンジェルはVCに好かれる
VCからの追加調達確率を高める、エンジェル投資家のポジティブな要因が2つ
✅ 投資判断が厳しい(Selectivity):
多数の案件を検討するが、ごく僅かな企業にしか投資しない厳し目のエンジェルから出資を受けたスタートアップ企業は、VCに評価されやすい
✅ エンジェルネットワークへの所属:
エンジェルネットワークに所属するエンジェルからの出資を受けていると、VCからの追加調達の可能性が高まる
発見2:過度なモニタリングはVCに嫌われる
VCからの追加調達確率を下げてしまう、ネガティブな要因は「過度なモニタリング」
-> エンジェルが投資先のスタートアップ企業に頻繁に関与し、監視・指導が過度になると、VCから敬遠される傾向
<なぜ過度なモニタリングは嫌われるのか?>
VCから見ると、エンジェルの過度な介入は:
「この会社は、それほど手厚く監視しないと危ないのか?(リスクのシグナル)」
「元のエンジェルと経営陣が親密すぎて、後から入る自分たちの意見が通らないのでは?(エージェンシー問題)」
といった懸念を生む可能性
発見3:ネットワーク所属で意味合いが変わる
上記のシグナルの意味合いは「エンジェルネットワークに所属しているか否か」で変化
🔹厳しい投資判断:
ネットワークに所属していない個人エンジェルの厳しさは、VCにとってよりポジティブなシグナルになる
🔹過度なモニタリング:
ネットワークに所属しているエンジェルによる過度なモニタリングは、より強力なネガティブ・シグナルになる
なぜ変化する?
-> ネットワークに所属していると、投資判断は個人の目利きだけでなく、組織のプロセスに支えられる
よって「個人の目利き力」を示すエンジェルの厳しい判断は価値が高く、逆に「組織的な支援があるはずなのに、なお過度に個人が介入するケース」は問題がある可能性を想起させる
結論
エンジェル投資家は、単なる資金提供者ではなく、その後のVC調達を左右する「シグナル発信者」でもある
よって、起業家はどのような特徴を持つエンジェル投資家なのかを意識して付き合うことが重要
✅ 厳しい選別眼:
後のVC出資獲得において、ポジティブな推薦状となる
✅ 投資ネットワークに所属:
所属自体がプラスのシグナルとみなされる
❌ 過度なモニタリング:
特に、ネットワークに所属しているエンジェル投資家の場合、致命的なマイナス評価に繋がる恐れあり
論文はこちら👇
Capizzi, V., Croce, A., & Tenca, F. (2021). Do Business Angels’ Investments Make It Easier to Raise Follow‐on Venture Capital Financing? An Analysis of the Relevance of Business Angels’ Investment Practices. British Journal of Management, 33(1), 306-326. doi:10.1111/1467-8551.12526
