製品開発に失敗しても追加投資を受けられるスタートアップの特徴
VC調達した米バイオテック254社(うち108社が打ち切り経験)を分析。製品開発の失敗後も資源を獲得できる企業が発する2種類のシグナルを明らかにする。
2026.10.05 約3分で読めます
分析対象はVCから資金調達を受けた🇺🇸米国バイオテクノロジー企業254社。うち108社は資金提供打ち切りを経験。(参考:この業界は製品開発の失敗率が非常に高く、長期的に多額の資金調達が不可欠)
この研究で注目されるのは2種類のシグナル
1️⃣ 内部の質的シグナル (Internal Quality Signals):
主に創業者の人的資本(学歴、過去の起業経験、職務経験など)。スタートアップの内部能力や問題解決能力を示唆。
2️⃣ 業界からの推薦シグナル (Industry Endorsement Signals):
業界内の専門知識を持つ企業(例:関連分野のCVC)からの投資や提携。外部からの評価や連携の強さを示唆。
-> この2つのシグナルが重要な段階を調べるため、製品開発の失敗を「初期段階(preclinical trial)」と「後期段階(clinical trial)」に分け、各段階でのシグナルの効果を検証
発見1:「創業者の人的資本」は初期の失敗に強い
スタートアップ初期段階で製品開発に失敗した場合、創業者の人的資本が高い場合、資金調達打ち切りのリスクを軽減する効果も高い
-> 投資家が「このチームなら立て直せるはず」との期待を持っている可能性
しかし、後期段階の失敗においては、初期段階ほど人的資本による明確な効果は見られない。
-> 事業成長する過程で、人的資本以外に事業を評価する情報が増えるため
発見②:「業界からのお墨付き」は後期の失敗に有効
一方、後期段階で製品開発に失敗した場合、関連業界のCVCからの投資といった業界からの推薦シグナルは、資金調達打ち切りのリスクを軽減するのに効果的
「業界の専門家が評価・支援しているため、まだ望みはある」と投資家が判断する可能性
-> 後期段階で業界からの推薦が重要となる背景
🔹高度で複雑な技術情報が増えるため、専門家による評価の重要性が増す
🔹失敗からの再起には、業界パートナーの知識やリソース提供が不可欠と見なされている
🔹スタートアップが成長するほど、単独の能力だけでなく、エコシステム内での連携や外部からの正当性が重要となる
まとめ
製品開発の失敗はつきもの。しかし、自社のステージと状況に応じて、適切な「シグナル」を投資家に示すことが、資金調達継続の鍵となる。初期段階ではチームのポテンシャルが伝わること、後期段階では業界から信頼されていることが重要に
Reference: Lahiri, A., Baid, C., Sahaym, A., & Fisher, G. (2024). When Failure Is Not Fatal: Examining Venture Resource Acquisition Following Product Development Failure. Entrepreneurship Theory and Practice, 49(1), 196-231. doi:10.1177/10422587241261618
