VCの投資判断は市場の活発さでどう変わるか──ホット市場とコールド市場
創業者の実績や黒字といったシグナルの重要性は、市場が「ホット」か「コールド」かで変わる。市場環境がVCの意思決定をどう左右するかを明らかにする。
2026.08.26 約2分で読めます
前提
スタートアップが資金調達する際、事業の質を伝える創業者実績や黒字などのシグナルは重要
一方で、「高い成長予測を提示する」といった簡単に実施できる口約束も存在する
研究での仮説:VCの認知プロセス
市場が停滞している(Cold Market)とVCは慎重になり、黒字化など確かな「シグナル」を重視
一方、市場が活発(Hot Market)だと楽観ムードや「取り残される恐怖 (FOMO)」から、より簡易な情報処理に頼って威勢のよい成長予測を重視する
-> VC投資家76名に架空のスタートアップのプロフィールを提示し、投資可能性を評価
📝発見1:客観的なシグナル効果は市場環境で変化
停滞市場では、黒字スタートアップへの投資可能性が47.75%上昇
しかし、活発市場ではその効果はほぼ消滅。投資可能性はわずか1.58%の上昇のみ
-> 活発な市場では、VCは黒字かどうかをあまり重視しない可能性
📝発見2:高い成長予測という口約束の効果も変化
活発な市場では、高い成長予測は投資可能性を64.84%押し上げた
一方、コールド市場でも32.13%上昇と、依然として効果的
市場が活発であるほど、VCは威勢のよい成長話にひかれる傾向
まとめ
VCの投資判断は市場環境に大きく左右される
停滞した市場では創業者の実績や黒字などの客観的シグナル重要視される。一方、活発な市場では威勢のよい口約束(高い成長予測)の方がより重視され、シグナルの効果は薄れる
Reference: Kleinert, S., & Hildebrand, M. (2024). Venture Capitalists’ Decision-Making in Hot and Cold Markets. Entrepreneurship Theory and Practice. DOI: 10.1177/10422587241268311
