チームの多様性は本当にパフォーマンスを高めるのか
多様性とチーム成果の関係をめぐる「約束」と「現実」の乖離を、包括的なレビューを通じて整理。どのような条件で多様性が成果に結びつくのかを明らかにする。
2026.07.20 約3分で読めます
チームの多様性は本当にパフォーマンスを高めるのか?🤔 Wallrich et al. (2024)
前提
多様なチームの効果ついて、これまで個別研究では相反する二つの結果があった
プラス:異なる視点やスキルをもたらしパフォーマンスが高まる
マイナス:社会的アイデンティティの違いから対立を生みパフォーマンスが下がる
多様性の種類は大きく3つ:
🔹人口統計 (Demographic diversity):年齢や国籍
🔹職務関連 (Job-related diversity):職種や在職期間
🔹認知 (Cognitive diversity):性格や学歴
-> 本研究では、英語以外の12言語も含めたデータ収集により、615件の研究報告から2,638件の効果量を分析
📝発見1:平均して多様性とチームパフォーマンスの効果は非常に小さい
どのような種類の多様性であっても、平均的にはパフォーマンスを劇的に向上させるほどの効果はみられず
📝発見2:特定の条件下では多様性の効果が強くなる
1. タスクの複雑性が高い or 創造性や革新性が求められる場合
2. 集団主義や権力格差が低い文化(個人主義的でフラットな文化の場合に効果が強くなる)
📝発見3:いくつかの要因はパフォーマンスに大きな影響を与えない
- チームの存続期間(チームが新しいか古いか)
- タスク遂行がチーム内メンバーと相互依存している度合い
これらの要因は、多様性の効果を強めも弱めもしない、もしくは効果が非常に限定的であると示唆
その他の発見いくつか
🔹主観的vs客観的パフォーマンス指標:
職種や在職期間など、職務関連の多様性は主観的評価においてパフォーマンス向上との相関が強い
年齢や国籍など、人口統計的多様性は客観的にみたパフォーマンス指標において相関がポジティブになる傾向
🔹逆U字型のパフォーマンスか
効果は線形ではなく、多様性の効果は「多すぎず少なすぎず」が最適である可能性
まとめ
チームの多様性が普遍的にパフォーマンスを向上させるという主張を、現状の科学的証拠で強く支持することはできない
平均して多様性の効果は小さく、その効果は文脈に大きく依存する(複雑で創造的なタスクかどうか、個人の視点が尊重される文化かどうか等)
多様性推進における安易なパフォーマンス向上効果の主張は、慎重になるよう示唆
Reference: Wallrich, L., Opara, V., Wesołowska, M., Barnoth, D., & Yousefi, S. (2024). The Relationship Between Team Diversity and Team Performance: Reconciling Promise and Reality Through a Comprehensive Meta-Analysis Registered Report. Journal of Business and Psychology, 39, 1303–1354. DOI: 10.1007/s11301-024-00438-x
