「マザーフッド・ペナルティ」と女性起業の関係
子どもを持つと女性の賃金が下がる「マザーフッド・ペナルティ」。雇用での不利が、女性を起業へと向かわせる一因となるメカニズムを分析する。
2026.09.07 約2分で読めます
前提
雇用主による偏見や差別から、子どもを持つと女性の年間賃金が減少する「マザーフッド・ペナルティ」
このペナルティが、女性の起業動機を高める可能性について分析
対象データは、1990~2018年における🇸🇪スウェーデンの雇用者・被雇用者連結データ約1,318万件
📝発見1:母親になると起業する可能性が高まる
子どもがいる女性は、そうでない女性と比較して起業を選ぶ傾向が高まる(オッズ比1.61倍)
-> 母親になるというライフ・イベントが起業行為を促進する力は大きく、労働市場での経験が3年増えることや、教育を4年長く受けることとほぼ同程度の影響力
📝発見2:ペナルティが大きいほど起業を選択が増える
賃金ペナルティが大きい母親ほど、起業への移行率が高まる傾向
-> 同僚の非母親との賃金格差が1標準偏差 ($12,600 ≒ ¥180万円) 拡大すると、起業移行率は5%上昇する
📝発見3: ペナルティが大きいと自営業よりも法人起業を選ぶ
母親であることは、法人設立する可能性を約84%高め、自営業になる可能性を約43%高める
-> 法人設立による新規事業の方が、より高い収益機会を期待できることと関係
📝発見4:管理職や高給の場合に法人設立がより選ばれる
管理職の母親が5年間昇給なしの場合、法人設立の確率は非管理職の母親より高くなる
-> 管理職では15.3%だが非管理職では10%。高給与職でも同様の傾向
参考:今回のスウェーデン労働者データでは、法人を設立する女性のうち81.5%が母親。自営業者では71.1%。また、女性が子どもを持つことによって年間の賃金は平均6-8%減少、男性の場合は約2%高まる(記述統計)
まとめ
賃金雇用の場で直面するマザーフッド・ペナルティを回避してより良い経済的機会を求め、母親が起業する可能性が示唆された。
キャリア・アップを目指す場合は、法人設立による新事業が魅力的な選択肢となることが背景か
Reference: Yang, T., Kacperczyk, A., & Naldi, L. (2024). The Motherhood Wage Penalty and Female Entrepreneurship. Organization science, 35(1), 27-51. doi:10.1287/orsc.2023.1657
