論文レビュー

起業家はアクセラレーターのメンターに何を求め、どう影響されるのか

経験あるメンターからの助言は起業家支援の柱。起業家がメンターに何を求め、その助言が自身の役割アイデンティティやビジネスモデルの変更にどう影響するかを分析する。

2026.08.10 約3分で読めます

論文紹介Yitshaki (2025) · Journal of Small Business Management 論文を読む →

経験と知識のあるメンターからのアドバイスは、起業家支援の重要な柱

では、実際に起業家はメンターからどう影響を受けているのか?

分析対象は、🇮🇱イスラエルの著名な非営利アクセラレーター参加スタートアップ33社の起業家54名とメンター11名(計80回、各90~120分のインタビューを実施)

📝発見1:起業家がメンターに求める2つのフィット

1️⃣ メンター・起業家フィット:
人間的な相性や相互作用への期待

2️⃣ メンター・ベンチャーフィット (MV-fit):
事業ミッションとのマッチングや事業価値向上への期待

📝発見2:起業家が助言を求める際の4つのスタイル

1️⃣ 感情・心理ベース:
情緒的支援も求めるが、最終決定は自身で行う(例:カウンセラーのような存在)

2️⃣ 経験ベース:
メンターの経験に基づいた課題解決法を求める(例:ナビゲーターのような存在)

3️⃣ 内省ベース:
メンターとの議論や対話を通じ、思考の整理や新たな視点を獲得

4️⃣ 自己充足ベース:
メンタリングの効果をあまり信じておらず、メンターを不要と考えている

📝発見3:起業家タイプによってメンターから受ける影響

🔹感情・心理ベースの起業家

a. 役割アイデンティティ:メンターからCEOとしての立ち振る舞いを学ぶ。

b. ビジネスモデル:事業の方向性を再考

🔹経験ベースの起業家
a. 役割アイデンティティ:メンターを成功した起業家と位置づけて学ぶ

b. ビジネスモデル:具体的に戦略・戦術を変更

🔹内省ベースの起業家
a. 役割アイデンティティ:影響は限定的
b. ビジネスモデル:事業モデルを根底から変化させる

🔹4) 自己充足ベースの起業家
メンターの影響は限定的

補足:メンターから受ける2種類の影響で整理すると

🔹役割アイデンティティ変革:
1) 感情・心理ベースや2) 経験ベースの起業家が影響を受ける。

-> メンターをロール・モデルと見なし、 「自分は何者か」「何をすべきか」という認識を深め、将来の役割イメージを形成

🔹ビジネスモデル変革:
1) 感情・心理ベース、2) 経験ベース、3) 内省ベースの起業家が影響を受ける

-> メンターからのフィードバックや問いかけを通じ、提供価値や市場適合性、ブランド戦略などを見直すきっかけを得る

まとめ

起業家がメンターからどのような影響を受けるかは、彼らがどのような「フィット」を求め、どのようなスタイルでアドバイスを希求するかに大きく左右される。

例えば、起業家が経験ベースの起業家の場合、メンターはお手本となる起業家であり、メンターの過去に起業家経験が大きな影響を与えうる。

一方、自己充足ベースの場合、メンタリングを求めていない状態でアクセラレーターに参加するので、メンタリング自体に効果を期待することは難しい可能性が高い。

メンタリングの効果を最大化するには、起業家自身のニーズとメンターの経歴マッチングが重要

Yitshaki, R. (2025). Advice seeking and mentors’ influence on entrepreneurs’ role identity and business-model change. Journal of Small Business Management.
DOI: 10.1080/00472778.2024.2307494

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