論文レビュー

友人や家族からの資金調達は、起業家の戦略を保守的にするか

FFF(家族・友人)からの資金は、起業家に「罪悪感」を通じてリスク回避的な選択をさせる。資金源が起業家の戦略をどう歪めるかを実証的に示す。

2026.07.29 約2分で読めます

論文紹介Neubert et al. (2025) · Journal of Business Venturing 論文を読む →

友人や家族からの資金調達は、起業家の戦略を保守的にする?Neubert et al. (2024)

前提

スタートアップ初期資金は家族や友人からのものもある

しかし、身近な人々からの支援がその後の起業家行動に与える影響は不明な点が多い

そこで「罪悪感 (Guilt)」に着目

-> 事業が失敗すると身近な人が損をするため、罪悪感を切り口に起業家行動を分析

アメリカ🇺🇸のインキュベーターやアクセラレーター参加の起業家193名 (男150, 女43) を対象にシナリオ実験

📝発見1:関係性が強いほど罪悪感を予期

支援してくれた人との関係性が強いほど、事業失敗時に「予期される罪悪感」が大きくなると起業家は回答

📝発見2:他者志向が強いほど罪悪感を増幅

起業家の他者志向(他者への配慮)が強いほど、関係性の強さによって生まれる罪悪感が増幅される

📝発見3:「予期される罪悪感」がリスク回避を促す

「予期される罪悪感」が強い起業家ほど、高リスクな成長戦略を避け、低リスクな選択肢を選ぶ

メカニズムの解説

支援者との関係性が強い
→ 失敗時の罪悪感が高い (他者への配慮が強いと罪悪感増幅)
→ 保守的な成長戦略

著者はこの現象を資金源によって生まれる偏りとして「資金源誘発バイアス (Funding-source-induced bias)」と紹介

まとめ

家族や友人からの資金調達が、起業家のリスク・テイクを抑制

→保守的な経営判断へと導く「バイアス」発生を示唆

-> 仮にその後のフェーズでエンジェルやVCから「もっとリスクを取ったほうがいい」と言われても、前段階で心理的なブレーキがかかっており、その後の戦略が制限される可能性

金額や契約上の内容だけでなく「どのような関係の人から資金調達するか」も重要な起業家的選択

Neubert, E., Fisher, G., Kuratko, D. F., & Stevenson, R. (2025). Funding-source-induced bias: How social ties influence entrepreneurs’ anticipated guilt and risk-taking preferences. Journal of Business Venturing, 40(1). doi:10.1016/j.jbusvent.2024.106453

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