論文レビュー

創業チームの過去の職歴は、スタートアップの成長段階にどう影響するか

イスラエルのハイテク企業153社を分析。創業チームの前職経験が、成長の初期と後期で有利に働く組み合わせが異なることを示す。職歴は資産にも負債にもなる。

2026.10.12 約3分で読めます

論文紹介Hashai & Zahra (2021) · Strategic Entrepreneurship Journal 論文を読む →

🇮🇱イスラエルのHighTechスタートアップ153社の成長を、初期と後期にわけて分析
-> 創業チームの過去の職歴により、成長初期と後期で有利な組み合わせが異なる

前提

この研究では、創業チームの職歴は4タイプ:
1️⃣ 過去に同じ会社で働き、当時の業界も今のスタートアップと同じ(同じ会社・同じ業界)
2️⃣ 過去に同じ会社で働くが、当時の業界は今のスタータップと異なる(同じ会社・違う業界)
3️⃣ 過去にそれぞれ異なる会社で働くが、当時の業界は今のスタートアップと同じ(違う会社・同じ業界)
4️⃣ 過去に異なる会社で働き、かつ今のスタートアップとも業界は異なっていた(違う会社・違う業界)

発見1:設立〜約4年の初期段階

「同じ会社・同じ業界」チームが最強。 知識も連携もスムーズで、最も売上成長に貢献。
「同じ会社・違う業界」「違う会社・同じ業界」もプラス効果はある一方、「違う会社・違う業界」チームで明確な効果は見られず

なぜ「同じ会社・同じ業界」チームは初期段階に強い?
✅ 業界知識が豊富で市場ニーズに即応できる
✅ 元同僚なのでチーム内の信頼関係やコミュニケーションが円滑
✅ 過去の成功体験やノウハウを活かせる

発見2:設立4年以降の後期段階

会社がある程度成長した段階において「同じ会社・同じ業界」「違う会社・同じ業界」チームの経験は、さらなる発展の足かせになる傾向

-> 理由は「コンピテンシー・トラップ(能力の罠)」。過去のやり方や成功体験に固執し、新しい市場環境や業界の変化に対して、これまでの経験的知識を活かせなくなるリスク。

一方、「同じ会社・違う業界」チームの経験は、成長後もマイナスにはなりにくい。「違う会社・違う業界」チームの経験は大きな影響なし。

発見3:初期と後期の両方

チームに多様な経験を持つ創業者がいると、初期も成長後も一貫して成長にプラスに働く。
-> 多様な経験の例:今のスタートアップと同じ業界でも働いた経験があるし、異なる業界でも働いた経験がある。

まとめ

成長の初期段階は同質性の高いチームが最強。しかし、長期的な持続的成長には多様なチームが有利となる。創業者に多様な経験は常にプラス。

Reference: Hashai, N., & Zahra, S. (2021). Founder team prior work experience: An asset or a liability for startup growth? Strategic Entrepreneurship Journal, 16(1), 155-184. doi:10.1002/sej.1406

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