父親でもあり起業家でもある男性は、どんな「男らしさ」を実践しているのか
フィンランドのテック創業者22名へのインタビュー。仕事と家庭の間で、父親であり起業家でもある男性がどのような男性性(マスキュリニティ)を実践するかを明らかにする。
2026.11.02 約2分で読めます
フィンランドのテック創業者29〜69歳の22名にインタビュー: Hytti et al. 2023
背景
これまで「起業とジェンダー」研究は女性中心であり、男性起業家の「父親としての側面」はあまり注目されてこなかった。
現代の父親像は多様化し、伝統的な「男らしさ」と「新しい父親像」の間で揺れ動いているはず。特に起業家では?
インタビュー分析の結果、父親(または父親になる可能性のある)男性起業家が実践する「起業家男性性」として、世代や状況によっても変化する3つのタイプが特定された。
タイプ1: 英雄型 Heroic
仕事最優先で、家庭(特に妻)は起業を全面的にサポートするのが当然という価値観。育児や家事は妻の役割と当然視。仕事へ没頭しながら伝統的な男らしさを維持。趣味も仕事の一環と捉える傾向があり、一部の上の世代に顕著な類型か
タイプ2:大黒柱型 Breadwinner
ワークライフバランスを意識し、家族との時間も大切にすると公言。しかし、実質的には仕事優先で、育児・家事の分担は限定的。「良い父親」像を演じながら、伝統的な稼ぎ手としての役割を維持。家族との時間を取った分、夜間労働などで仕事の埋め合わせを実施。
タイプ3:ケア実践型 Caring
特定の状況(配偶者や子供の病気など)により、一時的に家庭のサポートを優先。サポートはあくまでキャリアの一時的な調整と捉え、将来のための起業準備期間であると考える。ケアの実践内容も、合理性や効率を重視する旧来の「男性的」基準で語られる傾向。
論文での主張
伝統的な男らしさを完全に捨て去るのではなく、現代の「新しい父親」像を部分的に取り込みつつ、根底にある不平等なジェンダー関係を維持・再構築していると指摘。
男性起業家もまた、仕事と家庭の狭間で様々な「男らしさ」を生きている。理想とされる新しい父親像は、起業という文脈に根付く伝統的な男らしさと複雑に絡み合う。ジェンダー平等の難しさを示唆
Reference: Hytti, U., Karhunen, P., & Radu-Lefebvre, M. (2023). Entrepreneurial Masculinity: A Fatherhood Perspective. Entrepreneurship Theory and Practice. doi:10.1177/10422587231155863
