資金調達において、スタートアップの革新性と外部からのお墨付きはどう影響するか
投資家・支援者212名のデータを分析。革新性の高さと外部からのエンドースメントが、いかにして「最適な独自性」へとつながり、新規ベンチャーの資金調達を左右するかを示す。
2026.10.21 約3分で読めます
-> 投資家 / 支援者212名などのデータを分析: Mochkabadi et al.. 2024
前提
研究対象は、株式がリターンのクラウド・ファンディング(以下 株式CF)とプロダクトなど株式でない報酬がリターンのクラウド・ファンディング(以下報酬CF)
ここでの革新性とは、スタートアップのプロダクトや技術がどれだけ新しいかを意味し、低い / 適度、高いの3段階ある。
お墨付きとは、連携組織の高いブランド力、出資を受けた経験、メディア報道の有無。
1. 株式CFの場合
1️⃣ 革新性の影響
スタートアップの革新性は低すぎても高すぎても評価が低くなる傾向。評価は逆U字型となり、適度な革新性が好まれる傾向。
-> 「ありふれたスタートアップ」と「前代未聞のスタートアップ」の間がスイート・スポット
2️⃣革新性×お墨付きの影響
革新性が低いスタートアップがお墨付きを得ていると、マイナス評価が緩和される。しかし、お墨付きだけで、適度な革新性のあるスタートアップを越える評価は得られにくい
革新性が高いスタートアップがお墨付きを得ると、評価が大きくブーストされ、適度な革新性のスタートアップよりも高い評価を得る
革新性が適度なスタートアップは、もともと評価が高いためお墨付き効果は小さい
2. 報酬CFの場合
1️⃣ 革新性の影響
革新性の高低が、スタートアップ評価と連動する。つまり、革新性が低い=評価も低い、適度な革新性=それなりの評価、革新性が高い=最も高い評価となる傾向
-> 株式CFとは異なり、新規性や創造性そのものが魅力となる可能性を示唆
2️⃣ 革新性×お墨付きの影響
革新性の低いスタートアップにおいて、評価のマイナスをある程度緩和。
革新性の高い場合、すでに評価が高いためお墨付きによる効果は限定的。同様に、適度に革新的な場合でも大きな影響は見られない。
-> 革新性が低いスタートアップが報酬CFをする場合、お墨付きがあることは重要。ただ、それ以外のスタートアップにはそれほど重要でない可能性。
3. 研究からの示唆
株式CF:理解できる範囲で新しいことが求められ、革新的すぎる場合は外部からのお墨付きが重要
報酬CF:プロダクトそのものの「新しさ・面白さ」が重視されるため、お墨付きの追加的な効果は相対的に小さくなる
Reference: Mochkabadi, K., Kleinert, S., Urbig, D., & Volkmann, C. (2024). From distinctiveness to optimal distinctiveness: External endorsements, innovativeness and new venture funding. Journal of Business Venturing, 39(1). doi:10.1016/j.jbusvent.2023.106340
