「昔からの知り合い採用」はスタートアップ成長に吉と出るか凶と出るか
アフィリエーション(縁故)に基づく採用が、若い企業のパフォーマンスにどう影響するかを分析。旧知の関係に頼る採用の利点と落とし穴を明らかにする。
2026.08.17 約3分で読めます
「昔からの知り合い採用」は、スタートアップ成長に吉と出るか凶と出るか?Rocha & Brymer (2024)
前提
創業初期のスタートアップで、創業者はしばしば自身の過去の出身校や職場といった「つながり」を頼りに人材を確保する(以下、つながり採用)
つながり採用が業績(売上、利益、生存率)にどう関連するか、🇩🇰 デンマークで2001~2012年に設立された多業種スタートアップ8,312社、143,469名の従業員データで分析
📝発見1:創業者の過去の所属先からの採用は、平均して業績向上と関連
つながり採用を行うスタートアップは、そうでない企業と比較し、売上 / 利益 / 生存率が高い傾向
-> つながり採用が、質の高い従業員の獲得と維持に貢献している可能性
📝発見2:しかし、分解すると元職場は業績UP、出身校は業績Down
🔹元職場からの採用:
創業者と空間的 / 時間的に近しい(同じ部署 / 同時期に在籍など)元同僚を採用した場合、業績が向上
-> 売上と利益は平均4-5%高くなり、廃業率は約25%低下
🔹出身校からの採用:
創業者の最も近しい学友(例:同じ小学校の同級生など)の採用は、企業の利益と売上を低下させる
-> 利益・売上ともに約4%減少。個人的な親しさや同質性への選好が、スキルや経験よりも優先される可能性
📝発見3:スタートアップが成熟し始めると、出身校からの採用はプラスに
スタートアップが成長し、初期状態よりさらに専門性が求められる段階になると、創業者と比較的遠い学歴上のつながり(例:同じ大学だが卒業時期や専門が異なる人材)採用は、売上や利益の向上と関連
-> 共通の教育機関という信頼基盤がありつつも、創業者とは異なる知識やネットワーク(多様性)をもたらす可能性
まとめ
🔹元同僚:
創業者は彼らの能力や働きぶりを熟知しており、即戦力として期待できる。すでに信頼関係があるため、チームの結束も高まりやすい
🔹近しい学友 (特に幼馴染など):
個人的な魅力や安心感で採用しやすいが、ビジネスに必要なスキル・セットの不足や、同質性が高いため新しい視点や多様なネットワーク獲得を阻害する可能性も
🔹遠い学友:
スタートアップ成長に伴い専門性が必要になった際、共通の教育機関という信頼の基盤がありつつも、異なる専門知識や新しいネットワークを持つ人材を獲得できるため有益に
-> 創業者の「昔のつながり」を頼った採用は、スタートアップにとって有効な戦略となり得るが、極めて近しい個人的なつながり(例:幼馴染)に頼った採用は、かえって業績にマイナスとなる可能性。
企業の成長段階や求める人材像に応じて、どのようにつながりを活用するかが重要
Rocha, V., & Brymer, R. A. (2025). We go way back: Affiliation-based hiring and young firm performance. Strategic Management Journal.
DOI: 10.1002/smj.3673
