論文レビュー

「失敗は成功のもと」はチーム単位でどう当てはまるか

チームが失敗から学ぶことが新製品のパフォーマンスをどう高めるかを検証。集団的効力感が持つ諸刃の剣としての調整効果を明らかにする。

2026.05.06 約3分で読めます

論文紹介Tao et al. (2024) · Small Business Economics 論文を読む →

「失敗は成功のもと」 チーム単位ではどう当てはまる?Tao et al. (2024)

前提

この研究は、新製品開発チームの「失敗からの学習」を2種類に分類:

1️⃣ 直接学習 (Experiential learning)
自分たちの過去の失敗から学ぶ

2️⃣ 代理学習 (Vicarious learning)
社内の他チームの失敗から学ぶ

これらの学習が新製品のパフォーマンス(1. 市場投入スピード、2. 製品の革新性)にどう影響するか分析

データは中国🇨🇳のハイテク中小企業における152の新製品開発チーム(計398人)が対象

発見1:失敗からの学習はパフォーマンスを高める

✅「直接学習」も「代理学習」も、新製品の【市場投入スピード】と【革新性】の両方を高める

→ 自分たちの失敗からも、他人の失敗からも、チームは学ぶことができる

発見2:「チームの自信」が学習効果を変える

チームメンバーが共有する「自分たちならできる」という自信「コレクティブ・エフィカシー(Collective Efficacy)」は両刃の剣

プラスに働く時

チームの自信が高いと「直接学習(自分たちの失敗から学ぶ)」の効果が増幅され、市場投入スピードがさらに向上

→ 「あの失敗を乗り越えた私たちなら、次はもっとうまくやれる」という自信が、過去の失敗を糧に、開発プロセスを効率化させる原動力に

マイナスに働く時

しかし、同じくチームの自信が高いと「代理学習(他チームの失敗から学ぶ)」の効果が低下し、製品の革新性も弱くなる

自信過剰なチームは、「他人の失敗は自分たちには関係ない」「我々のやり方が一番だ」と考えがち

→ 他チームの失敗から学ぶ機会を逃し、斬新なアイデアを生み出せなくなることを示唆

なお、チームの自信によって市場投入スピードが低下するほどの悪影響は見られず

まとめ:学習と自信の組み合わせが重要

・自分たちの失敗から学ぶ際は、高い自信が推進力になる

・他人の失敗から学ぶ際は、過剰な自信はむしろ邪魔になる

チーム・リーダーへの示唆:
チームの自信を高めることによる効果はあるが、「過信」や「傲慢」につながると他者からの学習効果が下がる可能性

論文はこちら👇
Tao, X., Wang, C. L., Robson, P. J. A., & Hughes, M. (2024). How does team learning from failure facilitate new product performance? The double-edged moderating effect of collective efficacy. Small Business Economics, 64(1), 133-155. doi:10.1007/s11187-024-00895-2

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