起業家が「内輪のネットワーク」を飛び出すのはいつか──失敗の脅威と自己評価
失敗の脅威と自己評価が、起業家のエゴ・ネットワークの広がりにどう影響するかを分析。困難が起業家を新たな探索へと向かわせるメカニズムを示す。
2026.05.11 約3分で読めます
起業家が「内輪のネットワーク」を飛び出すのはいつ?Chen & Batjargal (2025)
前提
この研究は「問題探索理論」に基づく:
-> 人は普段、身近な範囲で解決策を探す(ローカル・サーチ)
-> しかし、パフォーマンスが目標を下回り、「失敗の脅威」を感じると、より遠くの、多様な解決策を探し始める(ディスタント・サーチ)
起業家にとって、多様なネットワークを築くこと=ディスタント・サーチという前提で、中国🇨🇳の起業家155人+153名を対象に実験
発見1:失敗の脅威が、多様なネットワーク構築を促す
失敗の脅威を感じた起業家は、そうでない起業家よりも、多様な情報源(ネットワーク)に接触しようとする意欲が有意に高まる
発見2:「自信」がネットワーク構築を左右する
一方、実験内のワークによって自己肯定感を高めた起業家は、失敗の脅威を感じても、ネットワークを多様化させようとしなくなった
発見3:自信がないから外へ向かう
発見1と2について、1年間の実際のネットワーク活動で検証:
✅事業の失敗を恐れる気持ちが強い起業家ほど、多様なネットワークを築く傾向
✅この効果は「自己効力感」が低い起業家にのみ見られる
-> 自己効力感が高い(=自信がある)起業家は、失敗を恐れていても、多様なネットワークを求めなかった
発見4:動的なネットワーク戦略
当初、多様なネットワークを求めた「自信はないが失敗を恐れる」起業家は、1年後には逆に、密な(結束力の高い)ネットワークを築く傾向
-> 危機を乗り越えるためにまず広く情報を集め(多様なネットワーク)、次に行動を支えてもらうために結束を固める(密なネットワーク)という、ダイナミックな戦略転換を示唆
まとめ
起業家を多様なネットワーク構築へと駆り立てる原動力は、「失敗の脅威」と「自分だけでは対処できないかもしれない」というな自己評価の組み合わせ
逆に、必要以上の自信は、外部のネットワークを拡張する機会を逃し、起業家を内向きにさせる可能性
どのような種類のネットワークを構築するか、時間軸による意識も重要
論文はこちら👇
Chen, X., & Batjargal, B. (2025). What Does Not Kill You Makes You Search: The Effects of Failure Threat and Self-Evaluation on Entrepreneurs’ Ego Networks. Entrepreneurship Theory and Practice, 49(4), 1071-1097. doi:10.1177/10422587251315665
