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2023年 AIインデックス・レポート

Artificial Intelligence Index Report 2023 by HAI at Stanford University

2023.04.05

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柏野 尊徳 | Takanori KASHINO

アイリーニ・マネジメント・スクール

2023年 AIインデックス・レポート

スタンフォード大学の人間中心AI研究所(Human-Centered Artificial Intelligence:HAI)により、全386ページの2023年 AIインデックス・レポートが先日リリースされました。

最新動向をまとめた重要な10のポイントが印象的だったので、以下に紹介します。

1. 産業界は学術機関の先を行く

2014年まで重要な機械学習モデルのほとんどは学術機関が発表。以降は産業界がリードし、2022年には32の重要な機械学習モデルを発表したが学術機関は3種類。AIシステム構築には、大量のデータ・計算・資金が必要であり、産業界はそれらリソースを従来から多く保持

2. 既存ベンチマークにおける性能の飽和

AIは最先端の成果を上げ続けているが、多くのベンチマークで前年比の改善はわずかなものにとどまる。かつ、ベンチマークが飽和状態に達するスピードも速くなっている。しかし、BIG-benchやHELMなど、より包括的な新しいベンチマークもリリースされている

3. AIは環境に有益であり有害

研究結果はAIが環境に深刻な影響を与えうると示唆。Luccioniら(2022)によると、BLOOMのトレーニング実行はニューヨークからサンフランシスコへの1人が旅行する25倍の炭素を排出。一方、BCOOLERなど新しい強化学習モデルは、エネルギー使用最適化に利用できるとの示唆

4. 世界最高の新しい科学者は...AI?

AIモデルは科学の進歩を急速に加速させ始めており、2022年には水素融合の補助、行列操作の効率化、新しい抗体の生成に使用された

5. AI悪用事件が急増

AIAAICによると、事件数は2012年から26倍に増加。2022年には、ウクライナのゼレンスキー大統領が降伏するディープフェイク動画や、米国の刑務所が受刑者に通話監視技術を使用した事件などが注目される。事件増加は、AI技術の利用拡大と悪用可能性への注目という両者の証拠である

6. AI専門スキルへの需要は、米国のほぼすべての産業分野で増加

データがある米国すべてのセクター(農林水産業と狩猟業を除く)において、AI関連の求人票の数は平均で2021年1.7%から2022年1.9%へ増加。米国では、雇用主がAI関連スキルを持つ労働者を求める傾向が強まっている

7. 過去10年間で初めて、AIへの民間投資額が前年比で減少

2022年の世界のAI民間投資は919億ドル、2021年から26.7%減少。AI関連の資金調達イベントの総数や、新たに資金調達したAI企業の数も同様に減少。しかし、この10年間では、AIへの投資額は大幅に増加。2022年、AIへの民間投資額は2013年の18倍に

8. AI導入企業の割合は頭打ちの一方、AIを導入企業は引き続き優位

マッキンゼーの年次調査結果によると、2022年にAIを導入する企業の割合は、近年は50〜60%の間で停滞しているが、2017年から2倍以上に増加。AIを導入した組織は、意味あるコスト削減と収益の増加を実現していると報告している

9. 政策立案者によるAIへの関心の高まり

AIインデックスが127カ国の立法記録を分析したところ、「人工知能」を含む法案の成立数は、2016年の1件から2022年には37件に増加。81カ国のAIに関する議会記録の分析によると、世界の立法手続きにおけるAIに関する言及は、2016年から6.5倍近くに増加

10. 中国人はAIプロダクトに対して最もポジティブだが、アメリカ人はそれほどでもない

2022年IPSOS調査では、中国人回答者の78%が、AI製品/サービスは欠点よりも利点が多いという意見に同意。サウジアラビアは76%、インドは71%。一方でアメリカ人は35%(調査対象国の中で最も低い割合)のみ


 

レポートは以下のページからダウンロードできます。

AI Index Report 2023

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