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親子で学ぶデザイン思考 5:自律的な感覚を大切に

2023.08.14

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柏野 尊徳 | Takanori KASHINO

アイリーニ・マネジメント・スクール

親子で学ぶデザイン思考 5:自律的な感覚を大切に

良い日もあれば、そうでない日もあるのが子育てです。しかし、結果の良しあしばかりに着目すると、大事な感覚が損なわれる可能性があります。それは、日々の出来事に対して自分なりに意義を感じて関わっているという自律的な感覚です。

これまでの心理学研究でも、自律的な感覚を持つことは、子どもの成長や親の幸せに関連があると示唆されています。

例えば、筑波大の研究者らによる2011年の論文では、約200人を対象にした調査で、中学生の自律性と学業成績の関連が分析されています。

「成績が下がると怒られる」と他律的に考えるのではなく、「勉強をするということは大切なことだ」と自律的に考える生徒は、勉強中に進捗(しんちょく)を振り返ることが増えます。そして、結果的にテストの成績も上がる傾向が確認されました。

また、埼玉大の研究者が19年に発表した論文は、育児について、乳幼児の母親329人を対象に調査した結果を報告しています。「自分の考えに基づき育児をしている」という母親の自律的な認識は、育児に対して「大変だが楽しい」「自分にとって意義がある」という前向きな感覚を高める可能性が示唆されています。

うまくいっていない時に「結果が出ていないからダメだ」「まわりが見たらなんて言うだろう」と考えると気持ちが落ち込みます。そうではなく、「自分にとって大事なことに、今日も自分なりに頑張って挑戦したんだ」とプロセスに目を向けてみましょう。仮に思い通りの結果が出ていなくても、真摯(しんし)に取り組むこと自体に意義があるのです。

編集:共同通信社 文化部 高橋夕季

親子で学ぶデザイン思考 6:1日の終わりに振り返る

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