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親子で学ぶデザイン思考 3:子どもの声に耳を傾ける

2023.07.31

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柏野 尊徳 | Takanori KASHINO

アイリーニ・マネジメント・スクール

親子で学ぶデザイン思考 3:子どもの声に耳を傾ける

親子で学ぶデザイン思考 3:子どもの声に耳を傾ける

人間性心理学の先駆者である米国のカール・ロジャーズは、1951年に出版した著書の中で、親が子と共感的な会話を交わす重要性を説きました。ここで言う共感とは、相手の立場に身をおいて、相手の感情を理解することです。相手の言うことをうのみにし、何でもかんでも肯定するのとは違います。

例えば、子ども同士のけんかがあったとします。その時、頭ごなしに叱ると子どもは心を閉ざしてしまう可能性があります。最終的に、親との会話自体を避けるようにもなります。

一方、共感的な会話はどうでしょう。けんかの前に何があり、そこで何を感じたのか、子どもの立場や気持ちを理解することから始めます。その後、同じ状況であれば自分だったらどうするかを親の考えとして伝えます。

また、2001年に英オックスフォード大の研究者が発表した論文は、共感的な会話が親の行動にもたらす良い影響に触れています。子どもに共感するプロセスを通じて、親は今まで知らなかった子どもの一面を理解できるようになると、示しました。

研究に参加したある親はこう言っています。「子どもも大人と同じような感情や不安を持っていると認識できた」「(自分が)子どもの頃を忘れていたけれど、子どもの目線で物事を見るのは良いことだ」

子どもの行動に対して、それまで叱ったり手を出したりしていた親が、落ち着いて子どもの話に耳を傾けられるように変わりました。

共感的な会話の積み重ねによって得られるのは、子どもの視点と親としての冷静さです。それは建設的な親子の人間関係へとつながっていきます。

編集:共同通信社 文化部 高橋夕季

親子で学ぶデザイン思考 5:自律的な感覚を大切に

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