親子で学ぶデザイン思考 3:子どもの声に耳を傾ける
親は子どもの成長を通じて、成長することができます。子どもは大きくなるにつれ、自分の考えを持つようになります。親に似た価値観を持っている場合もあれば、異なっていることもあるでしょう。いずれにせよ、親子の会話は、子どもの成長に合わせて変化します。
例えば、2006年に帝塚山大の研究者が発表した、小学生と高校生の親子計約400組を対象にした研究では、小学生親子は一緒に旅行や買い物に行くなどの行動が目立ち、会話量も多い傾向にありました。一方、高校生とその親では、会話自体が減り、その中身も子どもの将来について話し合うなど、互いの意見を交換する内容へと変わることが示唆されています。
九州大の研究者らが17年に高校、大学受験時の親子間コミュニケーションを巡る分析を発表しました。これを参考にすると、親が、子どもの成長を踏まえて発言や行動を変えることは、より良好な親子関係の構築につながると考えられます。
例えば、大学入試に臨む時期であれば、親が子どもを励ます一方で、子どもの意見に異論も唱える会話スタイルを目指します。つまり、親の意見よりも子どもの決定を尊重しつつ、議論を通じて子どもが見落としている点を指摘するわけです。
小学生になるまでは、親の役割は適切な行動を示す指導者でした。しかし、子どもが成長すれば、親は相談役として関わるようになります。子どもの成長をきっかけに、親も次のステージへ進むことができます。子どもの変化を受け入れながら、親子で共に成長していきましょう。
編集:共同通信社 文化部 高橋夕季
親子で学ぶデザイン思考 5:自律的な感覚を大切に