目次
実験とは?
実験フェーズでは、アイデアを具現化した上で、そのアイデアに対する顧客からのフィードバックを獲得します。
目的は、自分たちが想定していたアイデアが、どのように顧客に対して価値を提供できるのか、実験的に明らかにすることにあります。
デザイン思考では、お金や時間をかけずに、低コストでアイデアを形にしたものを「プロトタイプ」と言います。
プロトタイプは、失敗のリスクを最小化し、効果的にプロジェクトの軌道修正を実現してくれる道具です。
プロトタイプの形には様々なものがあり、アイデアを絵で表現したスケッチや、ありあわせの工具でつくった3 次元ののインターフェイスなど、物理的なものであれば何でも構いません。
実験の重要性
実験フェーズを実施することで、これまで創造したアイデアのどの部分に焦点をあててプロダクト開発をすすめていくか、顧客の声を参考にしながらそのプロセスを固めていくことができます。
実験フェーズで重要なことは、チームがこれまで気がついていなかった新しい学びをプロセスの過程で得ることです。
実験フェーズによって得られる効果は大きく分けて以下の3 つに分類できます。
1: チームでのさらなるアイデア探求ができる
アイデアをプロトタイプとして具現化する過程の中で、探索フェーズでアイデア創造をしていた時には想定していなかった、新しいアイデアやコンセプトを手にするケースがあります。
2: 顧客に対するさらに深い共感ができる
プロトタイプをテストして顧客からフィードバックをもらうことで、普段の生活や業務で顧客がどのような課題を抱えているのか、さらに深く共感しながら顧客を理解することができます。
3: 解決策の検証ができる
プロトタイプを活用しながら、顧客と一緒に解決策を発展することができるため、顧客の反応を踏まえながらプロジェクトが進むべき方向性を徐々に明確にすることができるようになります。
実験の方法論
実験フェーズは、次のような3 つの段階を何度も繰り返すことを想定しています:プロトタイプの作成、プロトタイプを使った実験、実験結果の整理と改善の方向性決定。
1. 実験材料となるプロトタイプの作成
ありあわせの材料で、実験に必要なプロトタイプを作成します。
最初のプロトタイプは、画用紙や模造紙などを使いながら、例えば30 分程度でつくるような簡易なもので充分です。
初期段階のプロトタイプが、顧客から絶賛されることは滅多にありません。顧客を感動させたり、説得させるために作っているのではないことに留意して、素早く低コストでプロトタイプをつくります。
2. 顧客との対話を通じた実験
プロトタイプができたら、顧客や顧客候補に使ってもらいます。プロトタイプを利用する過程の観察はもちろん、利用が終わったあとで積極的にその体験について対話をします。
実験の目的は顧客ニーズや顧客行動の学習にあるため、「この製品を欲しいですか?」といった開発側の視点に立った質問は避けましょう。
それよりも、「今回のプロトタイプを使ってどう感じましたか?」と、相手の考え方や気持ちを引き出す方向で対話をします。
3. 実験結果を整理し、改善の方向性を決定
一通り相手からプロトタイプについてのフィードバックを獲得できたら、そのフィードバックを整理します。
例えば、プロトタイプの良かった点、改善点、疑問点、新しいアイデアといった形で分類します。フィードバックを整理した上で、次の方向性を議論します。
例えば、強化すべき機能や削除すべき機能を決めたり、当初想定していたものとは全く違う方向に切り替えたりします。
方向性が定まったら、次のプロトタイプを作ります。
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