世界のあらゆる場所で、
誰もが自由に研究・学習に集中できる社会

1998年、中学1年生の時。「誰もが自由に学べる学校を世界中につくりたい」と思いました。大人になった今、当時の様子を振り返ってみると、そこには大きく3つの理由があると考えるようになりました。

1. 自由な環境
1つは、自由な環境です。そこには、子供の頃から私の考えや気持ちを大事にしてくれていた両親の存在がありました。今でも周囲からは「変わり者」「考えていることがわからない」と思われることが多い私ですが、両親は小さい頃から私の個性を尊重し、1人の人間として扱ってくれました。

当時はそんな自覚は一切ありませんでしたが、今振り返ってみると、両親のおかげで、「社会の常識」という枠にはめられて苦しんだり、周囲に同調する圧力によってストレスを感じることがなかったように思います。

自分がやりたいと思ったことは、周りから止められることなく自由に追求できる環境がありました。

2. 学ぶことの楽しさ
2つ目は、そのような自由な環境の中で「学ぶことは楽しい」と感じていたことです。子供のころ、全校生徒が1,000人を超える倉敷市(岡山県)の小学校に通っており、小学2年時に「全校生徒中、1年間で最も図書館の本を読んだ生徒」として表彰されました。

もちろん、当時は7歳か8歳ぐらいのため、読んでいたのは絵本や簡単な小説がメインでした。ただ、その中には世界に良い影響を与えた偉人を紹介する伝記漫画もありました。例えば、相対性理論を生み出したアインシュタインやノーベル賞を創設したノーベル、倹約に努めて地域の発展に貢献した二宮金次郎や文明開化のために生涯を捧げた福沢諭吉などです。

偉人のストーリーに触れることで、当時から「自分も何か社会に対して良いことをしよう」と感じていたように思います。上記は一例ですが、読書以外にも、自分の経験や周囲の人から直接学ぶことは私の生きがいです。

3. フィランソロピスト(篤志家)の存在
最後の理由は、フィランソロピスト(篤志家)の存在です。中学1年生の時に「経済的に成功した人が、恵まれない国で住む人達のために、寄付をして学校がつくられた」というエピソードを知ったことです。いわゆるフィランソロピスト(篤志家)と呼ばれる、アンドリュー・カーネギーやビル・ゲイツのような人がいることを初めて知りました。

直感的に「学びたいのに学べない環境にいる人もいる」「それはとても不自由だけど、意志のある行動でその環境は変えられる」「自分もそういった活動を『学び』の領域で実践したい」と感じました。

とはいえ「世の中の仕組み」「その中で、自分は何をすればいいのか」といったことは、まったくわかりませんでした。思いつけば深く考えずに行動する性格です。高校を卒業して大学へは行かず起業したけど、やっぱり大学へ行こうと思い25歳で受験。もしくは、これまで4回起業したけれど、うまくいかずに自己破産1回など、自由気ままで好き勝手な人生を送ってきました。

それでも、常に適切なタイミングで適切な人や書籍からヒントをもらい、やりたいことをやれています。私のような経験を運がよくて恵まれていたからできる状態ではなく、誰もが望めばいつでも可能となる状態が望ましいと考えています。

僕がみなさんとつくりたいのは「世界のあらゆる場所で、誰もが自由に研究・学習に集中できる社会」です。 100年かかるか1,000年かかるかわかりませんが、志のある人と一緒に、この夢を実現させたい願っています。

アイリーニ・マネジメント・スクール
学長 柏野尊徳

PLOFILE

アイリーニ・マネジメント・スクール 学長

柏野 尊徳(Takanori KASHINO)

アイリーニ・マネジメント・スクール学長
専門領域は起業家精神とイノベーション。慶應大学入学後、在学中にスタンフォード大でデザイン思考を学ぶ。学んだ知見を活かしてガイドブックや動画を開発、知識普及を促進するためWeb上で無料公開。累計16万部以上がダウンロードされる。英ケンブリッジ大学修士号取得。
起業失敗2回/自己破産1回を経て、2012年にデザイン思考研究所を設立し法人化。2018年には最先端の理論と再現性の高い実践法が学べるアイリーニ・マネジメント・スクールを設立。富士フイルム、パナソニック、3Mジャパンなどの組織改革や事業創造を支援し、世界40カ国で発行される『Startup Guide』シリーズでは、日本を代表する教育機関として認定。非営利教育機関への教育プログラムの無償提供も行っており、東京工業大学大学院では起業家人材育成コースの主要なコンテンツとして採用されている。
個人のプロボノ活動として、長崎大学NFEC アドバイザーやMIT-VFJ メンターなど起業家支援に関わる。2020年には南スーダン・ナルス地域の修道士と協力して持続可能な農業プロジェクトを立ち上げ、知識と資金を提供。孤児41名と現地住民637名が抱える食糧不足の解決や教育機会へのアクセス向上を支援。
生産性向上を目的とした初の著書「スタンフォード式 超ノート術」(SBクリエイティブ)は、発売1ヶ月でAmazonビジネス企画カテゴリー1位を獲得。2022年よりシカゴ大学に社会人学生として所属し、周辺環境が個人の意思決定に与える影響についてアイデンティティと社会制度の視点で研究中。

学長著書

地頭が劇的に良くなるスタンフォード式超ノート術

右脳と左脳に眠るあらゆる能力が活性化する、驚異の「ノート術」爆誕!
世界最高峰のデザインスクールで学んだ、超シンプルなのに新しいフレームワークとは?

関連リンク

note https://note.com/takanorikashino/n/nd2b58447135b
質問箱 https://peing.net/ja/takanorikashino
日経クロストレンド https://xtrend.nikkei.com/authors/19/00234/
honto書評 https://honto.jp/booktree/detail_00013658.html