テラ・ルネッサンスが運営している元子ども兵社会復帰支援施設を訪れました。 そこで、元子ども兵の施設の卒業生たちに会いました。私は、壮絶な人生を歩んできた彼女たちに、裕福で平和に暮らしてきた自分がどう存在してていいのかわからぬまま、少し緊張していました。
元子ども兵の方々との対話
彼女たちは、仕草がとてもきれいだったのが印象的で、凛としていました。彼女たち自身の暮らしや考えについて、話してくれました。 現在は、施設で訓練し培ったスキルを活かし、自分自身で作ったアクセサリーや洋服、カバンなどの販売で経済的に自立し、地元の方々といい関係を築き、子育てをしながら暮らしています。彼女たちが大切にしていることは、日々のお祈りや仕事のスキルを高めること、自分の子どもたちのこと。そして、子どもたちがきちんと学校に通い、周囲の子たちと仲良くし、自分のスキルを活かして力強く生きていくことを願っています。 彼女たちにとっての平和は、欠乏がないこと(必要なものがそろっていること)、自由であること(移動が自由にできる、食べたい時に食べられる、など)、アイデンティティがあること、などでした。
そして私は、未だにこんなことを問いかけてよかったのか自問自答していますが、彼女たちにこう聞きました。
「過去をどう捉えていますか?」
2人の方はとても悲しそうな顔(悲しそうではとても表現しきれない…)で
「もう終わったこと。何も思わないし、考えたくもない」
と答えました。できることなら、英語の勉強をしたかった、と言っていた方もいました。 1人の方は、こう答えました。
「多くを失った。多くの人が命を失った。手や足や鼻、目を失った。ただそれだけです。そしてこれだけのことに対して政府が何かしてくれてもよかったが、彼らは何もしてくれませんでした」
これらを彼女たちの口から目の前で聞いたとき、胸が潰れるような思いでした。
子ども兵について
過去の彼女たちのような、子ども兵は世界で少なくとも25万人以上います。(子ども兵とは、軍隊に所属する18歳未満の子どものこと) ウガンダでは、およそ3万8000人の子どもたちが誘拐され (12から13歳、場合によってはもっと小さいときに)、強制的に兵士にさせられます。日本では小学生、中学生の年齢にあたる子たちが、「神の抵抗軍」という反政府軍に誘拐され、想像することもできないような、話で聞くだけでは衝撃的すぎて現実のことなのか疑ってしまうようなことをさせられます。その1つとして、その子が育ってきた地元の村の人たちの鼻や腕を切断する行為や、自分の親や兄弟、友だちの命を奪うことを強要されます。
一体なぜこんなことをするのか、激しい憤りがあるが、反政府軍は彼らの帰る場所を奪い(自分の手で身体や命を奪った人たちがいる村へは帰ることは難しい)、軍からの脱走を防ごうという考えがあります。そして人に対してそういった行為をすることに慣れさせ、彼らを兵士に仕立てようとしています。 子ども兵は戦闘の最前列で行進させられ、弾よけとして使われ、地雷原を歩かされ、地雷除去装置として使われ、少女兵は性的虐待を受け、強制結婚をさせられます。
なぜ反政府軍が子どもを兵士にしようとするのかというと、子どもはピュアで命令に従わせ、洗脳をすることが大人より簡単だからです。誘拐しやすく強制的に兵士にすることが可能であるからです。子どもがいると敵の大人たちを油断させることができるからです。
そもそも、このような残虐行為をしている「神の抵抗軍」が生まれ、紛争が起こる土台には、これまでの「歴史」があります。この「歴史」は、先進国の「豊かさへの欲望」から作られたと私は思います。私たちの大量消費から作られていると思います。
自分にできること
私は彼女たちに会って、先進国で生きている人間の責任として、なぜこのようなことが起きているかの原因を追求し、どうすれば解決へと向かうのかを考え、実行していく必要があると感じました。 そして何が根本的な解決になるのかを問い続け、それを実行するのは私たちがやることなのだと思いました。まずは、以下のような今の自分にできることから始めようと思います。- 無駄に消費することをやめる
- 武器を作っている会社に投資している銀行にお金を預けるのをやめる
- 何とかしようとアフリカの地で活動している組織に、飲み屋でお金を使うのではなく寄付をする
参照図書・ホームページ
ここで記述している子ども兵やそれに関連する情報は、テラ・ルネッサンスの小川真吾さんから現地で聞いたお話や、以下の本の内容、テラルネッサンスのホームページを参照しています・「世界を無視しない大人になるために」原貫太(著)
・「ぼくらのアフリカに戦争がなくならないのはなぜ?」小川真吾(著)
・「ウガンダを知るための53章」吉田昌夫 白石壮一郎(編集)